AT車特有の「クリープ現象」とは?その仕組みや注意点
アクセルを踏んでいないにもかかわらず、勝手に車が動き出す「クリープ現象」。きちんと理解しておかないと事故に繋がってしまう可能性もあります。また場合によっては、上手にこの現象を利用して車を運転することもできます。
今回はクリープ現象の仕組みと注意点、運転に活用する方法についてご紹介いたします。
目次
クリープ現象とは
クリープとは英語で「ゆっくり進む(creep)」という意味です。この現象は主にAT(オートマチックトランスミッション)車で起こります。エンジンをかけている時、シフトをニュートラルとパーキング以外に入れていると、アクセルを踏んでいなくても車がゆっくり走り出してしまう現象です。
まずはその仕組みと速度について理解しておきましょう。
◇クリープ現象の仕組み
この現象は、クラッチ機構に「トルクコンバータ」を採用しているAT車で発生します。
トルクコンバータとは、エンジンから車輪への動力伝達をコントロールするパーツです。信号などで停止するたびにわざわざエンジンを切ったり始動したりしていると、多くのエネルギーを使うことになってしまいます。
そこでトルクコンバータによって、エンジンは動かしたままで、動力が車輪に伝わらないようにコントロールされているのです。
しかしマニュアル車のクラッチのように、エンジンから車輪への動力は完全に遮断されるわけではありません。トルクコンバータであるとわずかにエンジンの動力が車輪に伝わってしまうため、アクセルを踏まなくても少しずつ前方に進む現象が生じてしまうわけなのです。
◇速度
車種によって異なりますが、速度は時速5~10kmぐらいです。早歩きくらいのスピードですが、前の車との接触事故などに繋がってしまう危険性は十分にあります。
クリープ現象の注意点と活用方法
この現象の注意点と、上手に運転するポイントをご説明します。
◇追突事故に注意
ブレーキを踏んでいれば車は動きませんが、停止中に車の中で探し物などをした時にうっかり足がブレーキから離れて、動き出してしまうということがあります。この現象をしっかり知識として頭に入れておき、一時停止中はブレーキペダルから足を離さないように心がけておきましょう。
◇運転に活用
事故の危険性があるクリープ現象ですが、運転に活用することもできます。ブレーキの踏み込みだけでゆっくりとした速度調節ができるため、駐車時や渋滞時などの低速走行で有効に活用できるのです。
また発進の際もクリープ現象を利用してゆっくり走らせはじめて、それからアクセルを少しずつ踏み込んでいくことで滑らかにスタートできます。
まとめ
今回はAT車で起こるクリープ現象についてご説明しました。アクセルを踏んでいないのにもかかわらず、早歩きくらいのスピードで車が進んでしまう現象のことです。
意図せずに前方に動き出すため事故に気を付けなければいけない一方、発進時や駐車時、低速走行をする必要がある時などは逆にこの現象を利用することで上手に運転ができるようになります。